年末にはたいていの人が大掃除をするようで。
北海道は寒いので、年末に掃除はつらいと思うのですが、いかがでしょう。
春に大掃除なんていいですね。家中の窓を開け放ち、春の風を堪能しながらせっせと立ち働く。自然と掃除もはかどるってもんです。
ところが年末ときたら、窓を開けるどころか水にも触りたくありません。

と思いつつ、私も年末に大掃除らしきことを少ししました。
その時に思い出した、昔のできごと。

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昔、今勤めている会社とは別の会社に勤めていたときのこと。

上司「2、3週間、▲▲(地名)へ出張して」
私「はぁい」

返事もフットワークも軽く、荷物も軽く、出張に出かけました。

私の会社の上司が▲▲のとある会社のお偉いさんとお友達兼ビジネスパートナーで、そのお偉いさんが借りているマンションに私が住むことになりました。
お偉いさんはすでにそのマンションに住んでおらず、数ヵ月後の契約の更新時期が来たら退去する予定でした。
今は誰も住んでないから提供するよ、とのことです。

そのマンションに着いてすぐ、お偉いさんもやってきて、鍵を渡してくれたり、私にゴミの日やら収集場所を教えてくれました。
冷蔵庫もあるので中の食品も食べていいよ、と言い残してお偉いさんは帰っていきました。
さてそのマンションを不動産屋さん風に語ると。

■おしゃれな街○○駅まで徒歩10分!
■超
広々リビング2LDK!
■ビルトイン洗濯乾燥機!ドイツ製!
■カウンターキッチン!
広々
一坪以上風呂!

マンションの中を見て回ると、実際のところは。

■トイレ。シックな薔薇の花模様の壁紙が貼ってありましたが、全面水に濡れた跡があり、天井から床までびりびりに破かれていました。
■廊下。部屋。わたぼこりと砂ぼこりでじゃりじゃりします。
■冷蔵庫。置きっぱなしで電源が入っていましたが、中に入っている食品は、全て賞味期限切れ。20個以上入っていたお歳暮かお中元でもらったと思われる缶ジュースさえ半年前に賞味期限が切れていました。
■布団。奥の広い部屋に山ほど積んでありますが、叩くと黄色いカビのようなものが飛び散ります。カーペットも黒ずんでやばい。
■家具。必要な家具は持っていったようです。いらない家具(大型ゴミ)が置いてあります。放置です。ところどころ壊れてます。古いたんすの中に古いカーテンが入っています。
■空気。水槽の底のように淀んでます。


どう見ても廃墟一歩手前です。ありがとうございました。

荷物を玄関脇の4畳間に置くと、おしゃれな街らしい○○駅前までダッシュ!
スーパーで山ほどの掃除道具を買いこんで、リターン!おしゃれな街?見る暇ありません。
掃除機(吸いこみが悪いのが置いてあった。たぶんゴミ扱いだな)をかけて拭いて冷蔵庫の中身などを捨てて布団を叩いて干して。
夜中まで掃除しましたさ。

次の日から会社に行きましたが、帰宅後、食事をしてから掃除。夜中まで。
ちょっとやそっとの掃除では綺麗になった気がしないほど、難敵でございました。

しかし、1週間も掃除をすれば、だいぶ、居心地が良くなりました。
半年もの空き家特有の空気も薄れ(荒廃具合と冷蔵庫の中身から半年以上は確実に誰も住んでなかったと思われます)、
住めば都・・・落ち着いたので、今までシャワーで済ませていたのを風呂に入ろうか、という気になりました。

やたらと広いタイル張りの浴槽につかり、自分は掃除するためにこんなとこに呼ばれたんかい、としみじみ、ほっと一息つきました。
浴槽から立ち上る湯気を見やり、私の視線はその湯気を追ってだんだん上方へ向かい、換気口を見て・・・黒カビがてんこ盛り。

「○-×▲#+$☆:/!!!」

悲鳴は声になりませんでしたが、声になっていたとしたら、ぎぃええええ、とか、ぐぎゃあああ、ってなところだったと思います。ぎゃ行活用。
そしてスーパーお掃除タイムに突入!
いや、天井は盲点だったよ!天井は高いしシャワーしか使っていなかったし、気づかなかったよ!
黒カビって、3Dになるんですよ奥様!
なんでこんなにカビを育てるんですか!湯気が天井からぽたりと浴槽の湯に落ちたら大惨事じゃないですか!

私の滞在中の宿泊費と光熱費は払わなくていい・・・ことになっていたので、会社の人にも誰にも何も言わず、文句は心の中に収めましたが、もし払うのだったら、責任者の胸倉つかんでガクガクもんです。

マンションの借主のお偉いさんのうわさを聞いたのですが、なんでも近々結婚するらしく、それでとうにマンションを出て行った・・・
らしいのですが、婚約者と同棲しているわけではなく、別々に住んでいると聞きました。よくわからない人たちです。
マンションに住まないのは人の勝手でどうでもいいですが、少しは管理しろよ・・・

そんなこんなで、出張で仕事を手伝いに来たんだか、掃除しにきたんだかわからない日常が続き、ある夜。
今度こそ掃除がひと段落つき、居間に放置してあったシットアップベンチで腹筋運動をしていた時のことです。

玄関から急にガチャ、ガタン、ガタンガタン、という音が響いてきて、次に、ピンポーン!とチャイムが何度も鳴らされました。
ピンポンの間隔も短く、性急です。

玄関ドアのスコープから相手を覗くと、カジュアルな服装の街角美人が立っていました。
(街角でよく見かけるタイプの美人。流行をよく追ってファッショナブルだが、みな同じような外見で個体差が無い。ゆえにときとして集合名詞として扱う。ここでの定義by私。類語:街角イケメン)
おそらく会ったことのない人だなぁと思いつつ、どちら様ですか?と訊いても返答が無い。
さっき鍵が開いた音がしたということは、この街角美人さんは鍵を持っているんだ、と気づき、ここで、この人はお偉いさんの婚約者なんだ!と予想しました。
そういえばお偉いさんが、そのうちカーテンとか取りに来るかも、と言っていたのを思い出したので、私はチェーンを外してドアを開けました。
なにかあいさつしようとしましたが、街角美人は口を開きかけた私の脇を突風のごとくすり抜けて奥のほうへ突進していきました。
びっくりしましたが、後ろから声をかけながら私も後をついていきました。
「カーテンを取りに来たんですか?紙袋ならそこにありますよ」
と声をかけましたが、街角美人は無言のまま奥の洋間のたんすを開けたり閉めたりしています。全部のたんすを開け閉めすると、最後まで無言のまま、すごい勢いで帰っていきました。

狐につままれるとはこのことか。

いったい何だったんだろうと、あっけにとられつつ施錠をしっかりし、何度も確認してから、居間のシットアップベンチに戻りました。変な人より腹筋運動のほうが大事です。

数ヶ月後。私はまだ▲▲にいました。

会社の昼休み、同僚のおしゃべりが途切れたところで、話のネタに、変な人のことを話題にしました。
話し終わって。
私「あの人、なんだったんだろう。お偉いさんの婚約者だろうとは思うんだけど」
同僚「いや、きっと、その人は勘違いしたんだと思うよ」
私「なにを?」
同僚「だから、お偉いさんのマンションに女の人が住んでいるって知って、それで見に行ったんだと思うよ」

意味がわかるまで数秒かかりました。だから私は鈍いんだな。

私「えええええええ。出張で来て指示されてあそこに住んでるんだし、お偉いさんは鍵を渡してもらってからは一度も来てないし、なんで誤解するの?」
同僚「自分の婚約者が借りているマンションに女が住んでいるって、断片的な情報だけ知ったんじゃない?だから、確認しにマンションに行ったんだよ。たんす開けてたんでしょ?お偉いさんの服が入ってないか探してたんだよ」

名探偵はここにいたーーーーーーッ!!

私「そうか・・・納得しました・・・」
同僚「その女の人、確信してたわけじゃないから、何も言わずに家捜ししたんじゃない?決めつけていたら、あんた、文句言われたり、ひっぱたかれたりしたかもよ。何もなくて良かったね」

納得はしたんですが。次の瞬間、ガックリしました。
あの街角美人。行動から察するに、婚約者のマンションの鍵を持っているか自由に手に入れることができ、電気のスイッチの位置も間取りも熟知するほどあのマンションに行ったことがあります。
なのに、掃除も管理もなにもせず、知っていながらカビとほこりと湿気にマンションを朽ち果てさせ、妙な疑惑を持ったときだけ、なにその無駄な行動力。

掃除しない人間に邪推する資格無しッ!!

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以上が、昨年末に今の自分の部屋の風呂場の大掃除をしているうち、記憶から掘りおこされてしまった暗く悲しい思い出です。
ああ、やっぱりあの人、変な人。

この話題は賃貸・売買・物件管理のことならピタットハウス札幌中央店、旭川店の提供で伊藤がお送りしました。

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